まなびかふぇ　ひだまり～学習指導要領へん～

前回、少しだけ触れたけど……今回の学習指導要領のキーワードは「コンピテンシー（資質・能力）の育成」なんだ。

…山田くん大丈夫？
コンピテンシーは日本では「資質・能力」と訳されているよ。
もともとは経営の世界の概念で、
「職場で成果を残す人ってどんな能力を持っているの？」
「それを予測できれば採用や人事評価に役立つよね？」
という目的で使われていたんだ。

それが2000年代以降、世界的な教育改革のキーワードとして普及していった。特にOECDの DeSeCoプロジェクト の影響が大きいね。

OECD（2003）はコンピテンシーを「特定の文脈において、技能や態度を含む心理・社会的なリソースを引き出して複雑な要求（demands）に対応する能力」としているよ。*1

簡単に言えばね、日常で直面する問題を解決するために、
・持っている知識やスキルを使う
・人と協力する
・あきらめないように自分を励ましたり調整したりする
……などの総合的な力のことだよ。

文科省ではコンピテンシーを「三本柱」で整理しているよ。

そう。学習指導要領の教科目標はすべてこの3本柱に基づいて設定されていて、評価も同様だよ。

そのとおり。学習指導要領が改訂されると、それに合わせて指導要録や通知表の形式も変わる。指導要録が元になって内申や通知表が作成されるんだ。

安心して。“人間性”の部分は評価の対象ではないと明言されているよ。子どもの良いところを記述する「個人内評価」で扱われるだけ。

そう。“主体的に学習に取り組む態度”としてね。

これね、実は現場で問題になっているんだ。
文科省は本来、
・粘り強く取り組む
・自分の学習を調整する
などの観点を組み合わせて評価するよう求めている。
でも実際の学校では、
・ノートを出したか
・課題の締切を守ったか
など勤勉性のチェックに終始している例も多いんだ。

そう思うと、ノート提出が主体的か？ってなるね。言われたから出すだけだもん。

内申点のために挙げているという可能性も……それは主体的といえるのかな？

でも評価される以上、受験に影響するかもしれないんですよね？曖昧なものに将来左右されるのはちょっと……

まさにその問題意識から、次期学習指導要領では
・評価を教科内だけでなく教科横断的に行うこと
・数値の評定をやめ、文章で記載する方向性が検討されているよ。_*3*4